細谷正充の挿画コラム【2】堂昌一

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堂昌一の挿絵本

昔から挿絵の人気は高いが、それに反比例するように挿絵の本は少ない。まあ、絵が主体となるため、どうしても値段が高くなってしまうし、それでも買うというコアなファンは少ないので、商業的に難しいものがあるのだろう。だから必然的に挿絵を集める人は、古本屋を巡って、雑誌などを漁ることになる。もっとも近年はヤフオクを始めとするネットオークションが盛んになり、自宅に居ながら気軽に購入できるのがありがたい(もちろんバッティングすれば、値上げ合戦に突入するのだが!)。ただし、ネットオークションにも問題がないわけではない。私は小説の方がメインだが、お目当ての作家が入っているかどうか、分からないことが間々あるのだ。目次の写真を掲載してくれていればいいのだが、それがないときは五里霧中。表紙の写真を手掛かりに、博打気分で落札することになる。
といったところで、やっと本題の「別冊POKETパンチOh!」である。ネットオークションでこの雑誌が出品されたとき、表紙の写真しか掲載されていなかった。そこを見ると菊村到の「夜の扉は濡れて」というミステリー短篇が掲載されていることが分かる。だが私は、菊村作品は集めていない。普段ならスルーするのだが、作者の名前と同じサイズで、挿絵を担当した堂昌一の名前が並んでいるのが気になった。これはもしかしたら、かなり挿絵にも力が入っているのではないか。長年、古本古雑誌を買い続けた己の勘を信じて、ポチっと開始値段の五百円で入札。他に欲しがる人がいなかったらしく、そのまま落札した。
で、数日後に届いた雑誌を開いて、ガッツポーズが出てしまいましたよ。堂昌一の挿絵が、これでもかとてんこ盛り。まるで絵物語である。そういえば、この雑誌の本誌である「POKETパンチOh!」は、一九七〇年代の男性向け総合誌であり、ビジュアルにも力を入れていたなあ。その流れがあっての試みだったのだろう。と、真面目なことを考えたのは一瞬で、後は、挿絵を眺めてニヤニヤしっぱなし。実に、いい買い物であった。