「一般社団法人日本出版美術家連盟」発足のごあいさつ

平成29年3月1日、日本出版美術家連盟は、設立70年の節目を前に「一般社団法人日本出版美術家連盟」として新たな第一歩を踏み出す事となりました。

当連盟の設立は昭和23年(1948年)です。戦後の混乱期を経て始まった出版ブームは、印刷技術の向上とともに、近代文学、大衆文学の花を咲かせました。その新しい時代の波に乗り、多くの才能ある出版美術家が世に出ました。美人画の第一人者であった岩田専太郎の挿絵は読者を魅了し、その人気は出版業界の成長に大きく貢献しました。この岩田専太郎を初代理事長として、研鑽と親睦を目的に約200人の出版美術家が集まったのが当連盟のルーツです。以来、田河水泡、中一弥、小松崎茂、濵野彰親など、多様なジャンルの多くの先輩諸氏の功績とともに、私たちも日々精進し歴史を重ねて来ました。

当連盟は、昭和40年(1965年)に美術家の著作権を守る組織「美術著作権連合」の設立に参加しました。現在、この組織は7団体で構成されています。制作者の権利を保障する著作権法は、私たち制作者の生活を維持し、より豊かな美術的環境を築くための法律です。表現の自由を守り、自由な発想と才能への理解を求めるものとして先人が獲得してきた権利です。これを守り次世代に受け継ぐことは、連盟の役割のひとつです。私たちは、それが出版メディア全体の利益につながることと考え著作権保護活動に尽力していきます。

ここ数十年の出版の状況の変化にともない、出版美術のあり方も大きく変わって来ています。この度の一般社団法人化は、長く出版界と共に歩んできた当連盟が移り変わる時代に対応し、これからの出版美術と出版文化に主体的に貢献するためのものです。

これを契機に、私たちは今まで以上に学びを深め先人を知り、同時に新しい可能性を追求し、出版美術家として各々の才能を磨いて行きます。

今後とも、変わらぬご支援お引き立てを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

平成29年3月吉日
一般社団法人 日本出版美術家連盟
理事長 小宮山 逢邦